第16回 くつま整形外科スポーツクリニック講演会



平成16年11月27日(土)
講師:並木磨去光氏

「試合前後のコンディショニングの作り方と、栄養補給の実際」
@コンディショニングの三要素とは、運動(正しいトレーニング)、 栄養(バランスのとれた食事)と休養(回復させる睡眠)である。 コンディショニングの目的は選手のパフォーマンスを向上させることであるが、 現場ではテクニカルとメディカルの面から コンディショニングを管理する。 テクニカルスタッフは監督・アシスタントコーチ・フィジカルコーチであり、 メディカルスタッフはドクター・アスレティックトレーナー・栄養士などである。 それぞれ専門性の高い監督・フィジカルコーチとドクターの中間的な立場で選手の 強化と休養(もしくは治療)をバランスよく保たせるのがアスレティックトレーナーである。

Aコンディショニングには、傷害・疾病の予防、治療、疲労回復や環境対策が含まれる。 これらはすなわち、 医学的コンディショニングと呼ばれる。その基本は、「自分の体は自分で管理する」ということ。 「セルフケア」が最も大切である。 毎日の体重・体脂肪・脈拍・体温などの測定結果を把握し、自分の疲労度・回復度を理解しておくことで、新たな障害を予防できる。

Bコンディショニングの基本的な考え方は、上記のような選手のセルフケアが基礎にあり、その上にアスレティックトレーナーに よるコンディショニングケアを行う。それはPassive Conditioningとも云われマッサージやストレッチングで疲労回復やリカバーを 図るものである。さらに必要に応じその上にドクターによる医学的専門ケアがある。専門的な治療後のリカバーのために、 ドクターからアスレティックトレーナーによるコンディショニングケアにフィードバックされる。

Cコンディショニングの手段は、疲労回復のためにはアクティブリカバリー、ストレッチング、マッサージ、ジャグジーやサウナがある。 外傷・傷害の治療としてはリハビリ、理学療法、鍼治療などがある。補助トレーニングの手段としては器具を使った筋トレ、ストレッチング、 体幹補強、バランストレーニングがある。食事ではサプリメント、栄養士によるメニュー作成、アドバイス、捕食が手段となる。 セルフケアのためには体重・体脂肪測定、アイシング、ストレッチングなどを用いる。コンディションテェックではトレーニング時の心拍数測定が目安となる。 体重測定は簡便であるが、起床時・練習前後に測定し減少率を出すことによってコンディションを比較的容易に把握できる。

Dこれらのコンディショニングは通常時・試合前・試合当日・試合直前・試合時・試合後・試合翌日と、状況によってその方法が変化する。 試合前日はエネルギー補給を意識した食事にするべきであり、筋肉の入念なマッサージは避け、充分な睡眠を確保しよう。試合当日は試合時間に合わせたスケジュールを考える。 試合直前のウォーミングアップの段階から、水分補給は大切であり、試合中もグリコーゲンリキッドがエネルギー補給に適している。試合後は、 ストレッチングを行うとともに グリコーゲンリキッドとアミノバイタルの補給が必要である。そしてCompexという低周波治療器を用いて筋肉のリカバーを行っている。

@サプリメントの研究は盛んになり、数多くの製品が売り出されている。コマーシャリズムに影響されず、自分の体の長所・短所を把握し 「セルフケア」を行うことで必要なものを的確に補充することが大切である。
参考図書;杉浦克己、田口素子、大崎久子著 「選手を食事で強くする本」 中経出版

 

 

これまでのスポーツクリニック講演会の記録はこちらへ
K.O.M.I.C講演会Topページへ戻る